以前から噂されていたUbuntuのリリースサイクルの変更が本格的になりました。
Ubuntu Linuxを開発するCanonical社は、今後のUbuntuリリースに向けて「スナップショット」を毎月提供する新たなリリーススケジュールを導入しました。
これはUbuntuのリリースサイクルにおける大きな変更であり、主な目的はテストの質を向上させることです。
従来、Ubuntuは2000年代中頃から毎年4月と10月に安定版をリリースする厳格なサイクルを維持してきました。例えば、Ubuntu 24.10は昨年10月、Ubuntu 25.04は今年4月にリリースされています。
今回のスナップショット導入により、その間の月にも段階的なアップデートが提供されるようになります。
ただし、これは「ローリングリリース」や「毎月のポイントリリース」ではありません。あくまでテスト目的の先行アップデートであり、正式な安定版とは異なります。
Canonicalのエンジニアリング担当副社長Jon Seager氏によると、近年のソフトウェア開発は進化しており、Arch Linuxのようなローリングリリースや、Universal Blueのようなイメージベースの不変型ディストリビューションの登場により、多様なリリースモデルが生まれています。
これに触発され、Canonicalもより頻繁なリリースによるテスト強化を目指すようになったのです。
とはいえ、安定版のリリースサイクル(半年ごと)は維持され、通常のユーザーには大きな影響はありません。
スナップショットはあくまでテストに関心のあるユーザー向けのリリースであり、Canonicalはこれを「リリーススケジュールの強化(supercharging)」と表現しています。
バージョン番号にも変更はありません。
例えば2025年5月に登場したスナップショットは「Ubuntu 25.05」ではなく、「Ubuntu 25.10 Snapshot 1」と呼ばれています。
現在開発中のUbuntu 25.10(開発コード「Questing Quokka」)は、次のスケジュールでスナップショットがリリースされる予定です。
- 2025年5月29日:Snapshot 1
- 2025年6月10日:Snapshot 2
- 2025年7月15日:Snapshot 3
- 2025年8月19日:Snapshot 4
- 2025年9月18日:ベータ版
- 2025年10月9日:正式リリース
スナップショットを試したい場合は、Questing Quokka Snapshot 1のリリースページからISOイメージをダウンロードできます。
ただし、これらは日常使用には適していないため、バグ報告などに参加したいユーザーのみ、仮想マシンや予備の端末での利用が推奨されます。
KubuntuなどのUbuntu派生ディストリビューションでは、当面スナップショットの導入は予定されていません。
今回の試みはCanonical本体によるものであり、派生版は引き続き従来のポイントリリース中心の開発が続くと考えられます。