ChatGPTのような言語モデルを使うとき、出力が期待どおりにならず四苦八苦していると、逆にこちらが混乱してしまう経験をした人も居るのではないでしょうか。
あまりにも指示に沿わないと、思わず「ポンコツ」と入力したくなります。
良いプロンプトは、AIを「何でも知っている賢い存在」としてではなく、「指示された役割と条件に忠実なアシスタント」として扱います。
以下の5つの要素を組み合わせて、明確な指示書を作成するイメージです。
1. 役割 (Role)
AIにどのような専門家・キャラクターになってほしいかを定義します。
なぜ重要か?: 役割を与えることで、AIの知識の範囲、口調、視点が定まり、出力の専門性と一貫性が向上します。
例:
「あなたは経験豊富なSNSマーケターです。」
「あなたは小学校の先生として、子供にも分かるように説明してください。」
「あなたはプロの編集者です。以下の文章を校正してください。」
2. タスク (Task)
AIに具体的に何をしてほしいのか、その行動を明確に指示します。
なぜ重要か?: タスクが曖昧だと、AIは何をすべきか判断できず、的外れな回答を生成する可能性があります。「考えて」ではなく「作成して」「分類して」「要約して」のように、具体的な動詞で示します。
例:
「以下のテーマでブログ記事のタイトル案を10個作成してください。」
「この会議の議事録を3つの要点にまとめてください。」
「添付のデータから、売上の傾向を分析し、レポートを作成してください。」
3. 文脈 (Context)
タスクを遂行するために必要な背景情報、目的、前提知識を提供します。
なぜ重要か?: 文脈は、AIがタスクの意図を深く理解し、より的確で質の高い回答を生成するための「地図」の役割を果たします。
例:
(目的): 「新商品のプロモーションが目的です。」
(背景): 「私たちの会社は、環境に配慮した製品を販売しています。ターゲット層は20代〜30代の女性です。」
(情報): 「新商品は、繰り返し使えるシリコン製の食品保存バッグです。」
4. 形式 (Format)
どのような形式で出力してほしいかを指定します。
なぜ重要か?: 形式を指定することで、出力結果を後から手直しする手間が省け、そのまま利用できる状態に近づきます。
例:
「箇条書きで出力してください。」
「マークダウン形式で、見出しとリストを使ってください。」
「表形式で、列は『項目』『メリット』『デメリット』にしてください。」
5. 条件 (Conditions)
守ってほしいルール、制約、トーンなどを加えます。
なぜ重要か?: 条件を設定することで、出力の細部をコントロールし、意図しない内容が含まれるのを防ぎます。
例:
(トーン): 「親しみやすく、明るいトーンで書いてください。」
(制約): 「専門用語は使わないでください。」「文字数は全体で800字程度にしてください。」
(禁止事項): 「政治的な話題には触れないでください。」
実践例|「悪いプロンプト」 vs 「良いプロンプト」
お題:新しく発売するタンブラーのSNS投稿を考える
悪いプロンプト
新しいタンブラーのSNS投稿を考えて。
これでは、どのようなタンブラーで、誰に向けた、どんな雰囲気の投稿が欲しいのか全く分かりません。
AIはありきたりで一般的なアイデアしか出せません。
良いプロンプト(5つの要素を統合)
# 役割 あなたは、ライフスタイルブランドの経験豊富なSNSマーケターです。 # タスク 新商品「森のタンブラー」の魅力を伝える、Instagramのフィード投稿文を3パターン作成してください。 # 文脈 商品: 間伐材を配合した樹脂で作られた、自然な風合いが特徴のタンブラー。保温・保冷機能が高い。 ターゲット: 20代〜30代の、環境問題に関心があり、丁寧な暮らしを好む男女。 目的: 商品の認知度向上と、公式オンラインストアへの誘導。 # 形式 各投稿は、魅力的なキャッチコピー、商品の特徴(2〜3点)、コールトゥアクション(行動喚起)の3部構成にしてください。 投稿の最後に、関連するハッシュタグを5つ付けてください。 # 条件 トーンは、穏やかで、誠実さが伝わるようにしてください。 専門的な機能の説明よりも、利用シーンがイメージできるような情緒的な表現を重視してください。 絵文字は控えめに使用してください。
まとめ
AIへの指示は、「曖昧なお願い」から「具体的で明確な業務指示」へと変えることが重要です。
今回ご紹介した5つの要素を意識してプロンプトを作成することで、AIはあなたの意図を正確に理解し、優秀なアシスタントとして期待以上の成果を返してくれるようになります。
AIプロンプト作成のコツ
AIプロンプト作成には、いくつかの重要なポイントを押さえることが大切です。
- 意図を明確にする:プロンプトには、AIに何をしてほしいのかを明確に記載しましょう。曖昧な指示は予期しない結果を招く可能性が高まります。
- 言葉を洗練させる:正確かつ簡潔な言葉を使用し、混乱を避けましょう。具体的な指示ほどAIは適切に理解しやすくなります。
- 具体的な質問をする:直接的な質問を使うことで、より正確で関連性の高い回答を得ることができます。
- 読みやすさを意識する:箇条書きや見出しなどのフォーマットを活用して、プロンプトをわかりやすく整理しましょう。
- テストと反復を重ねる:AIの応答をもとにプロンプトを調整し続けて下さい。反復を重ねることでアプローチが洗練され、より良い結果が得られます。